かえる

かわりに、私もいつか誰かを許してあげようと。




ある晴れた日に
目覚めてそのまま寝ぼけ眼で天井をぼーっと見ていると「ひとみー」という聞き慣れた声が玄関から聞こえた
恵美子(母)だと直ぐにわかった。

約3週間程、連絡がとれない娘を心配して、その日の朝いつものように台所に立っていて、ふと思いつきで来たんだそう。宮古から沖縄に。有給使って。


恵美子の顔を見た瞬間、「なんでー」と泣き笑いの私。いろんな感情が液体となって私の目からしとしと。そんな私を見て涙を堪えながら微笑む恵美子。

その後、バイトを済ませて、2人で恵美子が宮古から持ってきたご飯をもぐもぐ食べて、朝6時まで語り合った。一度は、もう三時だからと2人ベットに寝転がって電気を消したものの、話は途切れずそのまま6時まで語った。

いろいろな話しをした。
これからのこと。昔のこと。弘(父)・ファッキンブラザー(兄)のこと。友達のこと。親戚のこと。男のこと。仕事のこと。本のこと。
恵美子は、私が実家を出てから弘のことを「お父さん」ではなくたまに「彼氏」と呼ぶことがある。照れくさー。まあいいのだけど。とにかくお互い本音で語りまくった。


ひょっとすると、こんな夜は最初で最後になるのかなーなんて変にしみったれたことを思いつつ、なんつーか、こんな娘でごめんなさい。


そ、そ、恵美子は良く私の言動を見て?「お父さんにそっくり」と言う。だから
「お母さんとひとみが似ているなーと思う性格ってどんなとこ?」と聞いてみた。
そしたら、恵美子、
『人から逃げるところ、かなー』と言った。
嬉しいけど嬉しくない。


おしまい。おちなし。おちまい。


帰ってから、歌いたくなってもいいようにと思ったのだ。

帰ってから、歌いたくなってもいいようにと思ったのだ。

♪夏が終わって
白くなっちゃって ぽっかり空いたこころ 君がぶらさがる
い〜や〜になっちゃうよ
い〜や〜になっちゃうよ
ぐ〜ぅ ぐ〜ぅ
かえるになっちゃうよ〜