ひとりの人間を知るとはどういうことだろうか。
ひとりの男がひとりの女を「知った」というとき、わたしたちは暗黙のうちに二人が性的な関係をもったものと了解している。「認識とは食べることである」といわれているが、対象が人間である場合、「食べる」というより挿入すること、相手をわがものにすること、を意味していると考えてよい。それはだからエロティックな行為である。
ある人間を知ろうという欲求は窮極においては相手を物にし、破壊し、あるときは人肉嗜食にまで至る可能性をふくんでいる。だがこうして死が介入してエロティシズムが完成するのを避けるために、ひとびとは自分と相手のあいだにことばをおくのである。
ヴァージニア/倉橋由美子

「認識とは食べることである」
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森田という男と心中を計り、マスコミにあそばれた雷鳴の言
「今回の私のいたしましたことは何所迄も私の所有である。他人の所有を許さない。」
松岡正剛HPより/平塚雷鳥