勉強からの逃避にレビューを。

>舞城王太郎

彼の作品にだいたい共通しているのは、彼オリジナルの圧倒的な文体、人が死ぬ、エロい、グロい、家族関係が複雑、愛、面白い擬音語、登場人物達の変な名前、、、だと思います。SPEEDBOY!と九十九十九は物語の構成も共通していますね。好き好き大好き超愛してるの構成とも似てますね、同じですかね。5、6話から成る一つの物語で、各話ごとに主人公だけは変わらず背景や物語が変わった、ように見せ掛けて実は繋がりがあるとゆー感じのものです。こーゆーのはサヤピョンピョン好きかもしれないと思った。パズルを一つ一つ読者が組み立てて一つの大きな物語を完成させるような。

舞城王太郎って好き嫌いがはっきり分かれると思うんです。文体と登場人物と物語がぶっ飛んでるから。私は最初「阿修羅ガール」で入って嫌な感じを持ちました。でもどーも大嫌いにはなれなくて読み続けて気付けばニヤニヤしながら舞城作品読み漁ってました。

妄想ですが、わたしが舞城だとして「タイトルを見ただけでイラッとする(某芥川賞選考委員の発言)」「文体がクソだ」「何が純文学だ馬鹿」とか批判されたとしても、「あー、そうっすか?あれー?」な感じで軽くあしらえると思うんです。そこをどんなに攻撃されてもまだまだ全然戦える!って。だって舞城さんの何が魅力かって、そのメッセージにあると思うんですよ。文体とか物語とかが包んでくれてるその中のもの。そのメッセージを批判されたらば真っ暗い部屋の片隅で体育座りしてレディヘのmotion picture soundtrackをリピートしまくりたくなると思うけど。
んむー、でも多分物語とメッセージてなんや絡み合った関係だと思うから、別々に考えるのもどうかとは思うんだけど。むん。





読了

煙か土か食い物 (講談社ノベルス)

煙か土か食い物 (講談社ノベルス)

「密室?暗号?名探偵?くだらん、くたばれ!」
血族の物語です。
あ〜面白かったー!!って感想しか出てきません。一週間程前に読み終わってていろいろぼやけていますが!
別作品の登場人物ルンババが出てきてて面白かった!別の本の登場人物がまた別の物語に出入りするの、伊坂幸太郎作品とそんな共通点があるって、素敵じゃーん。
あとこの作品を読んで興味を持ったのが医者。この主人公の四郎はERで働く医者。医者ってさ、四郎みたいに自分が神様になったような気持ちをほわっと感じる時があると思うんですよ。お腹がぱっくり破けてそっから色々飛び出してて今にも死にそうな人間を、こう、針と糸とメスとかを使って元通りにして数日後には今にも死にそうだった人は元気に笑っていたりしてるわけで。もちろん医者というか医療の力だけではどーにもならないこともあるけど、患者の力だけでもどーにもならないこともあるわけで。なんだろ、そんなん考えてみたら、医師って不思議な感覚に陥る時があるかもなーとか、どんな気持ちか知りたいと思いました。
あとあの、医者の話でとても興味深いことが書かれていた本があった、本多好考の作品で数年前に読んだものだったはず。タイトル忘れて読み返せなくてむず痒いです。こーゆー時の為にブログを活用したいものです。

と、ここまで書いて読み返して自分にぜひ贈りたい言葉、
「読書は、他人にものを考えてもらうことである。本を読む我々は、他人の考えた過程を反復的にたどるに過ぎない。」
「紙に書かれた思想は一般に、砂に残った歩行者の足跡以上のものではないのである。歩行者のたどった道は見える。だが歩行者がその途上で何を見たかを知るには自分の目を用いなければならない。」 読書について//ショーペンハウアー
わたしのような人間がいちいち「自分探し」なんて始めたら喜劇にもなりえません。


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九十九十九 (講談社ノベルス)

九十九十九 (講談社ノベルス)

んー、なんだこれ。
すっげ面白いー!と書いたら嘘になります。
一目見たら誰もが失神してしまう程美しすぎる少年が主人公です。主人公とその親戚の双子セシル・セリカの関係が面白くて3章まではガーっと夢中に読めたけど、その後聖書の話が絡んできて5章と4章が入れ代わるとこからフォローして行けませんでした。
それでもムガムガ意識に引っ掛かる何かを残すこれ舞城クオリティー
すごく印象に残ってるとこを引用して残しておきます。
「人間は催眠や暗示にかかりやすい動物だから。催眠術をかけられた人に、これは火だと言って氷を当てても、火傷しちゃったりするのと同様に、自分が燃えると信じてる人間は、燃えろと念じて自分が燃えるイメージを克明にすると、燃えるんじゃないかな。」
火傷するんですかね??!!意識って馬鹿だなーおい!
あと第三章の女の子にとても共感した。

「頭がいいのとは違う。僕は知ってることと知らないことをちゃんと分けてるだけ。他の人の中には、しらないことも知ってるつもりになる人がいて、そういう人が間違えたり勘違いしたりする」
「人は期待したり、なんか、いいイメージを抱いたりするんだって」
「その不確実性が間違いや勘違いの原因で、それが心を乱して、言ってみれば傷つけてるんだよ。でも心に傷をつけるという言葉は本当はおかしくて、傷をつける原因は、結局間違えたり勘違いしたりする自分にあるんだから、誰か他の人に攻撃されたような言い方は適切じゃない。もうやめようよ、この話も。(中略)これが続くと栄美子は僕を責めるか、自分を責めるんだから。僕が心を乱さないことと、栄美子が心を乱すことは、単なる僕と栄美子の違いなんであって、僕が栄美子より優れてるってことではないし、僕の心が<冷たい>とか、構造的に欠陥をかかえてるとか、そういうことでもないんだから」P196
ここの会話は唸りあがります。好きなとこです、あんま理解しきれてないけど。


SPEEDBOY! (講談社BOX)

SPEEDBOY! (講談社BOX)

足が音速級に早くて、背毛が犬みたいにぼーぼー生えてる男の子が主人公。これもまた「メタ」ものなんでしょうか。理解不足なとこが沢山あるー。今回読んだ3作品の中で一番刺激があって印象に残っています。
限界は自分が作り出すもの、限界という意識が限界を作る。そして、「誰かの感じる限界が、他の人間の限界をつくることだってあるんじゃないのか?」?????????????
自信喪失した時に読み返したいです、この本図書館で借りずに買えばよかったと思えたので買いです。
主人公が限界を突っ切る感じ好きです。それから今でもたまに思い出すのが、主人公成雄(なるお)の冷静すぎる性格。相手と通じ合えないと思うと相手に興味をすっかり失ってしまう、喧嘩して分かり合えないと思ったら仲直りしようと全く思えない、家族にでさえも。この性格と成雄の背毛って何か関係があると思うんだけど、まだ分からない。あと「人の死を重んじる奴は死にたがったり殺したがったりする。」て成雄の言葉もまだ掴めてない。
理解不足が沢山あるけど読了までに1時間もかからないほど快速にぴゅーーんと読ませてくれるこれ舞城クオリティー


ちょっと乙女チックでかわいくて気に入ってるとこを引用して残しておきます。


自問にはっきりした答えがないのも当然だ。
それを訊いてる自分にも答えようとしている自分にも、いろんな自分といろんな他人がそれぞれいるのだ。
答えがこんがらがるのも仕方がない。
何かを決めたかったら好きな子に相談するのが一番いい。
僕は楠夏に相談する。P198



理解しきれてないけど、これから何か経験を通して、あ!あれはこーゆー意味だったのかー!てパズルの全ピースがガッチリ合わさってピコーン!て理解できる瞬間がいつかあると思っています。あの瞬間て幸せです。アドレナリンが血管に侵入して全身巡ります。精神的快楽です。