勝手にしやがれ [DVD]

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ゆうすけくんが話してて、気になってた映画。
新しい感覚があって面白かった。
特に惹きこまれたのが、映像のカットの仕方。どう言えばいいだろうか、あのー、ずっと同じシーンなのだけど、一つのシーンの中にパパッとカットが入る感じ。人がまばたきをして一瞬目を閉じて次に開いた瞬間の感覚的なものが映像になった、という感じだった。これは岩井俊二作品にもあったと思う。まばたきをするその一瞬、一瞬世界は真っ暗になる。目を閉じ、一瞬世界は黒一色になって、そしてまた目を開いた時、一瞬前とまったく同じ世界が目の前にあるとは限らない、そんな不安な感じがあったと思う。私は洗顔をするとき、目を閉じながら「あー、次に目を開けて鏡を見たとき、顔が山羊の顔に変わっているかもしれない」と思いドキドキしながら洗顔をしていた、という時期があった、中高生の時だ。今でもたまに思う。なんで山羊なのかはよくわらかない。ずっと変わらず洗顔するときに山羊の顔に変身してしまっている自分を想像している。2度言うが、なんで山羊かは謎である。ちなみに山羊は好きだ。めへえー。閑話休題
あとこの映画には、とても軽い空気が流れていると思った。人を殺して、人を愛して、そういうのがとっても軽く感じられる。「愛してる」なんて言葉とか、フッとひと吹きでかき消してしまえる感じだ。軽いからダメだとかいう話ではなくて、その空気がとても独特で興味をそそられるのです。あと、登場人物の誰にも感情移入できなかった。

最後に、とっても好きなシーンがあって、それは主人公の男が、女のスカートをぺろっとめくると、女はすかさず男の頬にバシッとビンタをするというシーン。2度くらいあったと思うが、この流れが完璧で面白い。コントみたいで笑えるしなんか可笑しい。3歳の男と女も同じことしてそうだ。


HANA-BI [DVD]

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私が今はまり中の岩井俊二監督の作品を見て「このひとの映画って、一度も殴り合いとかしたことのない人の作った映画だってすぐわかる」と北野武はいったというようなことを空中キャンプさんとこで読んで、急に興味が湧いた北野武作品。北野作品は思えば兄ちゃんからススメられたブラザーという作品しか見たことがなかった。ちなみにブラザーはわりと好きな作品で、「fucking japくらいは知ってる」とアメリカ人に言って銃をバンバンするシーンはすごかった。
そしてこの作品、とってもよかったです。
見終わっていろいろ思いながら、ニーチェの言葉を思い出した。プリントの裏とかにメモってた言葉で、そのプリントがどこを探しても見あたらないので正確ではないがニーチェは「本当に善くなるには、一度本当に悪くなる必要がある」という様なことをいっていた。この映画の主人公は、大切な人を侮辱したり傷つけようとする他人に対して、なんの躊躇もなく、相手の目の玉に箸を突き刺したりする。そしてある時は、アパートの廊下に置きっ放しされて歩行の邪魔をしている三輪車見て、その三輪車をそっと抱え、邪魔にならない様な場所へ置く、という行動をとったりする。邪魔だから、と三輪車を蹴飛ばしそうな感じが一瞬ただようのだが、彼はそっと抱えるのでした。うーん、、なんと言うか、、そういうギョッとさせるような暴力と、はっとさせるような温かさがこの映画にはいくつかあったと思う。興味深かった。ってあれー、ニーチェの言葉と絡めるつもりがあんま絡めてないな!
あと、シーンの最後に2,3秒の間を持っているのもすごくよかった。余韻を残していて、よかった。
いくつか笑いの要素も挟まれていて、その笑いがこころ和ませるような笑いで、いいなあと思った。
この映画の終わり方、「17歳の合衆国」という映画で私が感じたことを思い出させた、あの感じは未だになかなか言葉にできていない。悲しいとも切ないとも違うなにか。あと車椅子の刑事の考えていることと主人公とのことが上手く混ざっているのもよかった。あー、面白い映画でした!ごちそうさま!