本の話

国のない男

国のない男

そこで人間を見限る−−われわれを見限り、情報に頼るばかりで考えることをしない人々を見限り、最後は自分自身を見限った

自分の頭で考える、ということを意識的にしている。恥ずかしいが、今更そのことがどんなに大きなことなのかわかるようになってきたのだ。そんな今の自分にはすごく興味をそそる本だったんじゃないかと思う。前回読んだ池田晶子さんの本も、そうやって自分の頭で考えることがどういうことか、哲学ってなんだよ、とかについていろいろ考えられたが今回読んだヴォネガットの本も、さらにそういったことを深められるものだった。皮肉や冗談がちりばめられてて面白い。
それから、この本で初めて知ったインタレスティンな言葉があった。
サイコパス」というものだ。
サイコパスというのは、ひとつの医学用語。賢くて人に好印象を与えるものの、良心の欠如した連中を指す言葉だ。(略)生まれつき良心の欠如している人々、ともいえる連中が、いま、世の中のすべてを一気に乗っ取ろうとしている 
これは、あれと似ている。前回読んだ池田晶子さんが「文学で扱われるべき」と言っていたのと似ているんじゃないかと思った。でも、サイコパス、ほんとうにそんな人が存在しているのだろうか?そうとしか考えられないような人はメディアでいくらか目にするが、ほんとうに存在するのか、いつか私も出会うのか。たぶん、サイコパスという言葉が囲める以上に、恐ろしい何者か分からないものなんじゃないかと思うである、そんなやつは自分の中にもいるである。